グラフィティニュース
ニューカッスルのモニュメント駅壁画、設置30年
車窓に並ぶ北東部ゆかりの14人
英国ニューカッスル中心部のモニュメント駅にある壁画「フェイマス・フェイシズ」は、2026年に駅での展示開始から30年を迎えた。イブニング・クロニクルによると、元炭鉱労働者の画家ボブ・オリーが制作し、1996年から展示されている。イングランド北東部ゆかりの著名人たちが、同じメトロの車両から外を見つめる構図である。
描かれたのはポール・ガスコイン、ジミー・ネイル、スティング、バジル・ヒューム枢機卿、マイク・ネヴィル、ロブソン・グリーン、ブライアン・ジョンソン、ブレンダン・フォスター、ローワン・アトキンソン、サー・ジョン・ホール、ピーター・ビアズリー、デイム・キャサリン・クックソン、ティム・ヒーリー、ジャック・チャールトンの14人だ。
乗客を描いた絵が、実際の乗客の通る駅に置かれている。顔を一人ずつ見分ける楽しみだけでなく、作品の題材と展示場所のつながりにも目を向けたい。地域の人々の肖像が、移動という日常の場面に組み込まれている。
制作の場はサウスシールズの文化施設
オリーはサウスシールズのカスタムズ・ハウスで滞在制作をしていた時期に壁画を描いた。同紙は、交通事業者ネクサスの「アート・オン・トランスポート」事業による依頼作品だと伝えている。当時の交通事業者の責任者マイク・パーカーが作品を気に入り、メトロで最も利用の多い駅に置いたという。
記事が引用する2021年の映像で、オリーは個展の開幕を担当してくれたパーカーへの返礼として、ネクサスのために絵を描こうと考えたと振り返った。そこで生まれたのが、地元の著名人を乗せたメトロ車両という着想だった。個展の終了後、モニュメント駅で常設展示されると知り、喜んだとも語っている。
ギャラリーから駅への移動は、作品に接する人の範囲を変える。展示を目的に訪れる人に加え、通勤や外出の途中に通る人も観客になる。公共空間の美術を見るうえで、作品が置かれる場所の役割を考えさせる経緯である。
顔を見分ける行為が鑑賞につながる
壁画の前では、乗っている人物が誰かを確かめる姿が見られるという。オリーは映像の中で、駅をよく利用する家族から、顔を見分けようとする人がいると聞くと話した。作品が残り、作者の家族だと人に伝わることにも意味を感じている様子を語った。
ネクサスの駅運営担当マネジャー、リン・ディキンソンは、壁画がメトロで特に人気のある作品の一つだと説明した。また、非常に混雑する階段にあり、毎日数千人の目に触れると述べた。これは運営側の説明であり、記事に独立した観客数の集計は示されていない。
すべての人物を知らなくても、知っている顔から鑑賞を始められる。車両全体を見てから個々の表情へ視線を移すと、集団肖像としての構成も追いやすい。繰り返し通る場所だからこそ、別の日に新しい顔に気づく余地もある。
鑑賞の目的地はモニュメント駅
壁画を訪ねる際の目的地は、ニューカッスル中心部のモニュメント・メトロ駅となる。記事は駅の混雑する階段にあると説明するが、構内の詳しい経路や、鑑賞場所まで乗車券が必要かどうかには触れていない。現地の案内を確認して移動したい。
階段では通行を妨げない位置から眺める配慮が必要だ。地域の顔を同じ車両に集めた作品は、駅という公共空間の中で地域の記憶を目に見える形にする。設置30年は、その絵が日常の移動とともに見られてきた時間でもある。