グラフィティニュース
バンクーバー東ヘイスティングスに大型追悼壁画
カナダ・バンクーバーのダウンタウン・イーストサイドにあるイースト・ヘイスティングス通り159番地の壁で、大型の追悼壁画の制作が進んでいる。グローバル・ニュース(Global News)によると、カイル・シップマン(Kyle Shipman)とジェシー・グーシー(Jesse Gouchey)が主導作家として2026年8月17日の週に着手し、参加する作家は全体で十数人にのぼる。下部は「スモーキー・ディー(Smokey D)」の名で知られるストリート作家ジェイミー・ハーディ(Jamie Hardy)が担当している。
壁画が描く場面
壁画には、トレイ・ヘルテン(Trey Helten)がエンジェル・ゲイツ(Angel Gates)を描いている場面が表される。二人ともすでに亡くなった同地区の住民であり、一枚の絵の中で一人がもう一人を描くという構図によって、結果的に二人が同時に追悼されることになる。トレイ・ヘルテンはダウンタウン・イーストサイドで薬物の過剰摂取予防に取り組む団体オーバードーズ・プリベンション・ソサエティ(Overdose Prevention Society)を運営し、2025年4月に死去した。エンジェル・ゲイツは同地区でよく知られた住民で、バルモラル・ホテル(Balmoral Hotel)に暮らしていた。
カイル・シップマンはグローバル・ニュースに対し、「友人たちの死をようやく悼み、少しでも区切りをつけるための私たちなりの方法だ」と語った。
市が壁と塗料を提供した
注目に値するのは費用の構成である。グローバル・ニュースによると、バンクーバー市が場所と塗料を提供し、オーバードーズ・プリベンション・ソサエティが寄付を集めて残りを賄った。想定外の費用に充てるための募金も続いている。
ストリートアートの世界では珍しい取り合わせだ。行政は通常、壁の塗料を消す側であって提供する側ではない。また公共アートの委嘱は普通、発注者が主題を定めて作家を公募するという逆の順序で進む。今回は自治体が面と材料を出し、誰を悼むかをすでに知っている人々がその壁に何を描くかを決めた。
終わりの日が決まっている壁画
この壁が立つのは、2024年に解体されたバルモラル・ホテルの跡地である。敷地は社会住宅として再開発される予定であり、つまりこの壁画はいずれ姿を消す。
ストリートアートにおいて、この条件は欠陥というより前提に近い。壁画が恒久的であることはまれで、再開発や上塗りや天候がその寿命を決める。ただし追悼壁画の場合、この一時性の意味は変わってくる。誰かを忘れないために描かれた絵が、その土地の工事日程より長くは残らないかもしれない。作品の目的が変わるわけではないが、残っているうちに記録しておく価値は確実に高まる。
追悼壁画という形式
追悼壁画には、ストリートアートの中で古くから続く固有の作法がある。美術館ではなく本人が実際に暮らしていた通りに描かれること、前を通る人の多くが本人を知っていること、完成後も花やろうそくが根元に置かれ、絵が画像であると同時に場所として機能し続けることである。
美術館に掛かる肖像画との違いはそこにある。観客が特定されているのだ。イースト・ヘイスティングス通り159番地の壁画は、バンクーバー市民全体よりも先に、その一区画の人々に向けられている。
グローバル・ニュースは、完成すればバンクーバーで最大級の作品のひとつになる見込みだと伝えている。制作には着手から約1か月かかる見通しである。
残っているうちに記録する
壁画の寿命が定まっているほど、日付の残る写真と正確な位置情報の価値は上がる。ウォールスケープのマップでは周辺にすでに登録された作品を確認でき、現地で撮った写真はフィードに投稿して、同じ壁の変化を時系列で追えるようにできる。
出典: Global News