グラフィティニュース
合法的に描ける壁(リーガルウォール)の探し方
リーガルウォールとは、その壁に描いてよいという許可が付いた壁を指す。所有者が個人でも自治体でも、同意があれば描く行為そのものは器物損壊にあたらない。逆に許可がなければ、どれほど完成度が高くても法的には損壊である。ストリートアートで合法と違法を分けるのは、絵の質ではなくこの一点だけである。
許可は街単位ではなく壁単位で与えられる
ここで最も多くの人が間違える。ある路地がグラフィティで有名だからといって、その路地全体に描いてよいわけではない。よく知られた壁画エリアでも、許可のある壁とない壁が同じ区画に混在していることは珍しくない。同意は特定の壁面に、ときには特定の期間だけ与えられる。
したがって「この街はグラフィティに寛容だ」という情報は実用的ではない。確認すべきなのは目の前の壁である。
リーガルウォールの主な形
- 自治体が開放した壁:市区町村が特定の壁面を開放し、案内板を設置している形。多くは常時開放で申請も不要である。
- スケートパーク、青少年施設、文化施設の壁:施設の運営者が管理しており、現場の担当者に聞けば許容範囲を教えてくれる。
- イベントやフェスティバルの壁:期間を限って確保された壁。イベントが終われば許可も終わる。
- 所有者の同意を得た民間の壁:最も多い形であり、最も誤解が多い形でもある。口約束ではなく、メッセージなど記録の残る形で同意を得ておくほうが安全である。
- 常設のトンネルや高架下:ロンドンのウォータールー駅下にあるリーク・ストリート・トンネルが代表例である。
日本の事情
日本では常設のリーガルウォールが欧米の都市に比べて少ない。実際に描ける機会の多くは、商業施設やイベントが期間を限って壁を用意する形、あるいは店舗や工場の所有者が個別に許可する形で生まれる。数が少ないぶん、現地の運営者や地域のコミュニティに直接尋ねることの重要性が高い。
所有者の同意だけでは足りない場合
建物の所有者が承諾しても描けない壁がある。文化財に指定された建物、景観に関する条例で規制された地区、区分所有で一人の同意では決められない建物などである。大きな壁面に商業的な内容を描く場合は、屋外広告物条例の対象になることもある。
小さな壁であれば所有者の同意でおおむね足りる。大きい壁、古い建物、道路からよく見える壁であれば、自治体に一度確認しておくほうがよい。
リーガルウォールにも作法がある
法律ではなく慣習だが、守らなければその壁で歓迎されなくなる。
- 上描き(going over):リーガルウォールは重ねて描かれ続けることが前提である。ただし自分の作品より完成度の高いものの上に描かないのが古くからの慣習で、タグで多色のピースを潰す行為はどこでも問題になる。
- 描き始めたら仕上げる:半分だけ塗られた壁は次の人が使いにくい。
- 壁からはみ出さない:ドア枠、窓、雨樋、歩道まで塗料が及ぶと、翌年その壁の許可が失われる。
- 缶とキャップを持ち帰る:空き缶の放置は、開放された壁が閉鎖される最も多い理由の一つである。
- 時間帯を守る:住宅に近い壁では騒音と臭いのため時間制限があることが多い。
どこで確認するか
確実な方法は三つある。実際にその壁で描いた経験のある地域のコミュニティに尋ねること、自治体の文化や都市デザインを担当する部署に開放された壁があるか問い合わせること、そして地図を見ることである。Wallscape の地図は何がどこにあるかを位置とともに記録しており、フィードでは最近上がった作品を確認できる。
許可が確認できていない壁に描くことは、この記事が勧める方法ではない。許可のある壁は思っているより見つかるもので、探すのに一日もかからないことが多い。