グラフィティニュース
LAの落書きタワー、清掃開始 完了まで約90日
ロサンゼルス中心部にある未完成の高層ビル、オーシャンワイド・プラザ(Oceanwide Plaza)で、グラフィティの除去作業が始まった。ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)が2026年7月31日に伝えたところによると、7月22日に試験的な高圧洗浄が行われ、3棟すべてを清掃し終えるまでに約90日かかる見込みだ。
2024年初め、42階建ての外壁に人が下りた
グラフィティが描かれたのは2024年初めである。ロサンゼルス・タイムズによると、ライターたちは壊れたフェンスを越えて工事が止まったビルに侵入し、階段で屋上まで上がった。一部はロープで壁面を下りながら、地上から数百フィートの高さにスプレーで絵を残した。2棟はそれぞれ42階建てと54階建てで、クリプト・ドット・コム・アリーナ(Crypto.com Arena)と110号フリーウェイのすぐそばに建つ。中心部を通る人なら誰の目にも入る位置にあり、この建物はやがて「グラフィティ・タワー」と呼ばれるようになった。
なぜ高層ビルが空のまま放置されたのか
オーシャンワイド・プラザが未完成のまま残されたのは、開発会社の資金が尽きたためだ。ロサンゼルス・タイムズによると、北京に本社を置くオーシャンワイド・ホールディングス(Oceanwide Holdings)は2014年にこの土地を購入した。それまではイベント用の駐車場として使われていたアスファルトの空き地だった。計画では高級コンドミニアムとアパート、5つ星のパーク ハイアット ホテル、高級店とレストランが入る屋内モールが建ち、外壁にはフィゲロア通り(Figueroa Street)にタイムズスクエアの雰囲気を持ち込む大型電光看板が設置される予定だった。
同社は約12億ドルを投じたが、2019年に資金が尽きた。ロサンゼルス・タイムズの商業用不動産担当記者ロジャー・ビンセント(Roger Vincent)は「1980年代半ばからロサンゼルスの商業用不動産を取材してきたが、これほどの規模で破綻した高層プロジェクトは見たことがない」と語った。工事は約60%の段階で止まり、躯体と外皮は完成したものの内装には一切手が付けられていない状態だった。ビンセントはこれを「きわめて異例」だと表現している。
称賛と当惑が同時にあった
この建物への反応は一つではなかった。ロサンゼルス・タイムズによると、一部の市民や観光客は描き手の大胆さと技術に感嘆した。ベースジャンパーがこのビルからパラシュートで飛び降り、あるパフォーマンス・アーティストは42階建ての2棟の間に幅1インチのスラックラインを張り、その上を歩く様子を撮影した。
一方の見方も明確だ。ビンセントは「経済界の関係者と住民の大半は、グラフィティが消されることを歓迎しているとみて差し支えない」と述べ、大きなタグが「何の制止もなく描かれ、何年もそのまま残ったことで、中心部が無法地帯だという印象を与えた」と説明した。ダウンタウン・ロサンゼルス住民協会(Downtown Los Angeles Residents Assn.)の共同創設者キャシー・ホートン(Cassy Horton)はロサンゼルス・タイムズに、「グラフィティ・タワーはいまや世界的に悪名高い。『ここへ来て好き勝手にやれ、罰は受けない』と光って告げる灯台のようだ」と語った。
除去作業は窓清掃と同じ装備で行われる
塗料を落とす作業自体が大がかりだ。ロサンゼルス・タイムズによると、清掃には約90日かかり、一部は身体的な危険を伴うため、窓清掃に使われる吊り足場(スイングステージ)に作業員を吊り下げて進める必要がある。
土地の所有者も変わる。カリフォルニアとインドで商業用不動産を保有・開発するKPCディベロップメント(KPC Development Co.)のカリ・P・チョードリー(Kali P. Chaudhuri)が率いる企業連合が、当初の施工会社であるレンドリース(Lendlease)とともにこの開発案件を購入する。ビンセントによると、買い手は当初の計画どおり住宅504戸と高級ホテル、ショッピングセンターを完成させる意向だという。
屋外に描かれたものは必ず消える
オーシャンワイド・プラザは極端な例だが、結末そのものは例外ではない。street artは消され、上塗りされ、あるいは建物ごと解体される。90日後、ロサンゼルスで最も目立っていたグラフィティは写真の中にしか残らない。
だからこそ記録の仕方が重要になる。Wallscapeのマップとフィードは、いま壁にあるものを場所とともに残すための道具だ。今日撮った1枚が、数年後にはその作品が存在した唯一の証拠になることは珍しくない。
はっきりさせておくべき点がある。不法侵入と器物損壊は現実の法的リスクであり、オーシャンワイド・プラザでの制作は閉鎖された工事現場への立ち入りを伴っていた。Wallscapeは無許可の制作を推奨しない。ただし、このビルが引き起こした議論 — 都市の外観を誰が決めるのか — は、塗料が落とされた後も残る。