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ウェンブリーにフレディ・マーキュリー生誕80年の錯視壁画
フレディ・マーキュリーの生誕80年を記念する高さ9m(30フィート)の壁画「I'm Mr Mercury」が、ロンドンのウェンブリー・パークで公開された。BBCによると、作品はウェンブリー・スタジアムとOVOアリーナを結ぶ「スパニッシュ・ステップス」58段すべてを一枚の絵として使ったアナモルフィック壁画で、階段の向かいに印がつけられた一点からだけ顔が完成する。鑑賞は無料で、2026年12月まで設置される。
日本を愛したフレディが壁画に残したもの
日本の読者にとって見どころになるのは、壁画の中の錦鯉だ。BBCによると、錦鯉はマーキュリーの日本への愛情と、ロンドンの自宅にあった日本式の池を表している。翼を持つ女性像は彼の星座である乙女座を示し、これはマーキュリー自身がデザインしたクイーンの紋章にも使われたモチーフだ。階段に沿ってスタジアム側へ向かって、歌詞と彼の言葉が並ぶ。
制作者のスタイルズはBBCに「フレディはグラフィックデザインを学んだ人らしく、視覚的な感触に非常に敏感で正確だった。この壁画を意識的に作るうえで、彼のその姿勢に従うよう努めた」と語っている。
58段の階段が一つの顔になる仕組み
BBCによると、この壁画は約20m(65フィート)離れた指定地点から見たときだけマーキュリーの顔として見え、それ以外の場所からは色と線に分解される。特定の視点からのみ形が合うように意図的に歪めて描く手法で、アナモルフィックと呼ばれる。
英国のストリートアーティスト、フランク・スタイルズ(Frank Styles)が制作した。BBCによると、スタイルズは絵を4つの独立した作品として手作業でスプレーし、それを58段の上で一枚の画像に組み上げた。階段は壁と違って段ごとに高さと奥行きが変わるため、一点から形を合わせるには段ごとに異なる歪みを計算する必要がある。ストリートアートで階段、路面、建物の角といった「絵が掛けられない面」にアナモルフィック技法がよく使われる理由はここにある。
なぜウェンブリーなのか
フレディ・マーキュリーは1946年9月5日に生まれた。BBCによると、クイーンは1978年から1984年にかけて、当時「エンパイア・プール」と呼ばれていたこの会場で10回公演し、1985年7月にはウェンブリー・スタジアムのライヴ・エイドに出演した。翌年の夏には同じスタジアムで完売公演を2回行っている。
作品を発注しキュレーションしたウェンブリー・パークのクラウディオ・ジャンブローネ(Claudio Giambrone)はBBCに「フレディ・マーキュリーとウェンブリーの関係は、有名な公演一回をはるかに超えるものだ。ファンがウェンブリーの中で集まり、彼を思い出せる新しい場所を作りたかった」と述べた。
ストリートアートとして見ると
この作品は依頼を受けて描かれた合法の壁画で、期限の決まった一時的な作品でもある。ウェンブリー・パークが企画し、2026年12月までしか残らない。「いずれ消えることを前提に描く」という条件はストリートアートでは珍しくないが、今回は消える時期が最初から公表されている。ファンにとっては訪問期限がそのまま鑑賞条件になる。
もう一つの条件は「どこに立つか」だ。完成した顔は指定地点にしか存在せず、一歩横にずれると絵は色と線に戻る。写真を撮るなら、印の位置から一枚、横から一枚。この二枚を並べれば、技法の説明はそれで足りる。
訪問情報
- 場所: ロンドン、ウェンブリー・パーク。ウェンブリー・スタジアムとOVOアリーナ(旧ウェンブリー・アリーナ)を結ぶスパニッシュ・ステップス
- 鑑賞地点: 階段の向かい、約20m離れた印の位置
- 料金: 無料、いつでも鑑賞可能
- 期間: 2026年12月まで
ロンドンでこの階段を見てきた人も、日本の街で似た錯視壁画を見つけた人も、Wallscapeのマップに場所を登録できる。フィードでは他の都市のアナモルフィック作品も見られる。
出典: BBC News, "Freddie Mercury mural unveiled at Wembley Park"