グラフィティニュース
ダラスのファイブマイル地区、歴史を描く壁画を修復
住民と大学生が3日間かけて色を戻した
米テキサス州ダラスのファイブマイル地区で、歴史を描いた壁画の修復が2026年10月18日に完了した。ダラス・モーニング・ニュースによると、住民とノーステキサス大学ダラス校の学生が芸術家レイキーム・ウィルソンと3日間作業した。場所はランカスター・ロードの5700番台。コンクリートの壁に描かれた馬、小川、小さな校舎に色が戻った。
ファイブマイル近隣協会は修復の実現に向けて4年間準備した。会長のフェリシア・スーウェルは、地域が何十年も取り残されてきたと語った。協会書記のジーナ・アシュフォードはボランティアや資材を調整し、テキサス州上院議員ロイス・ウェストが塗料などを提供する協力者につないだと説明した。
ウィルソンはサウスダラス出身でオーククリフ在住。ダラスのアフリカン・アメリカン博物館のアソシエート・キュレーターで、NaturalBorn Studiosの創設者でもある。今回は学生の日程調整、塗料の注文、色の選定を担当した。
歓迎看板の計画から壁画が生まれた
壁画は地区の歓迎看板を設置できなかったことを受け、2017年に制作された。近隣協会によると、私有地やテキサス州交通局の土地への看板設置は実現しなかった。当時ダラス市議会の第8選挙区を代表していた元市議エリック・ウィルソンが、ランカスター・ロードの壁を確保するために力を貸した。
こうした経緯を知ると、壁画が地域の存在を示す役割も担っていることが分かる。通行人が風景の中で地区の名前や物語に触れる場所だ。修復は絵の色を整えるだけでなく、住民が自分たちの歴史を伝える場所を保つ営みといえる。
新しい作品を加えることに加え、既存の壁画を手入れすることも公共美術を支える。今回の作業では、何を描くかという制作時の選択と、その絵を残したいという住民の意思がつながった。
土地の取得と学校の記憶を伝える
ファイブマイルは奴隷解放後、かつて奴隷にされていた人々が土地を購入し、農業を営む共同体を築いた歴史を持つ。同紙が引用したダラス市公園・レクリエーション局の説明によると、ミラー・ファミリー公園は、元奴隷の6人が購入した約600エーカーの土地に関係する場所にある。ジョン・ミラーは1874年にその一部を購入した。
壁画の小さな校舎は、人種隔離の時代に黒人の子どもが通ったリズボン・カラード・スクールを表している。馬や小川と併せて見ると、農村の風景だけでなく、教育の歴史も壁に残されていることが分かる。ウィルソンも修復を通じ、地域の初期の学校など、知らなかった歴史を学んだと話した。
ノーステキサス大学ダラス校で刑事司法を学ぶアリシア・リチャードは、学生向けの参加案内メールをきっかけに作業に加わった。ガーランド在住のリチャードは住民と一緒に塗りながら、絵に描かれた場所の話を聞いた。制作や修復の現場そのものが、地域の記憶を受け渡す機会になった。
ランカスター・ロードで地域史に触れる
壁画を探す際の目安は、ダラス南部のランカスター・ロード5700番台だ。馬、小川、校舎という具体的な図像を手がかりにすると、住民が残そうとする暮らしや場所の記憶を読み取りやすい。ウィルソンは通行人が、描かれた学校や場所に関心を持つことを願っている。
地区全体を記念する歴史標識の設置は、壁画修復とは別の取り組みだ。同紙によると、パーシモン・ロード沿いのターバー墓地は2025年9月、テキサス州歴史委員会から歴史墓地に指定された。一方、ファイブマイル全体の歴史標識は引き続き目標であり、時期は同委員会の判断に左右される。
修復された壁画は、その標識の設置を意味するものではない。地域の人が手を動かし、歴史を街路から見える状態で守った成果として見ることができる。Wallscapeの地図でほかの壁画も探せる。